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「関係ないとは言えない」――立花孝志氏、名誉毀損容疑で逮捕 “3名の情報提供者”に広がる説明責任論と、兵庫知事選を巡る情報戦の実像

立花孝志逮捕

公開日:2025年11月11日(JST)|媒体:geinou-news.net

兵庫県警は11月9日、今年1月に死去した竹内英明・元兵庫県議の名誉を毀損した疑いで、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(58)を逮捕した。立花氏は昨年の兵庫県知事選の街頭演説やSNS上で、取り調べを受けている逮捕される予定だったなどの発言を行っていたが、県警は当時「事実無根」と異例の全面否定。6月には竹内氏の妻が刑事告訴に踏み切っていた。今回の逮捕は死者に対する名誉毀損の立件としても注目を集めている。

何が起きたのか:発言の経緯と逮捕のポイント

争点は、昨年の兵庫県知事選における“情報戦”だ。立花氏は、自身は当選を目指さず斎藤元彦・現知事の応援に軸足を置くという異例のスタンスで選挙戦を展開。その中で竹内氏を“黒幕”視するようなレトリックを用い、逮捕予定などの断定的フレーズがSNSを通じて拡散したとされる。兵庫県警は「事実無根」と明確に否定していたが、竹内氏の死後も情報発信が続いた点が名誉毀損(死者)の成否を巡る大きな判断材料となった。

逮捕後の報道では、立花氏が捜査側に対し「発言した事実は争わない」趣旨の供述をしている一方で、発言の真実性・相当性の抗弁(いわゆる真実性/真実相当性)の余地や、公人に関する論評の限界など、法廷での争点が残るとの見立ても示されている。

“3名の情報提供者”の影――なぜ責任論が拡大しているのか

逮捕を受け、世論の矛先は3人の兵庫県議(当時・維新、のち離脱)にも向かっている。報道によれば、増山誠・岸口実・白井孝明の各県議が、非公開の百条委音声や真偽不明の文書・私的情報の断片を立花氏側に提供していたとされ、兵庫維新は今年2月に除名や離党勧告を決定。その後3名は「躍動の会」を立ち上げ、県議としての活動は継続している。

とりわけ問題視されたのは、非公開の百条委員会の音声という性格の情報や、「黒幕」記載の怪文書などが選挙戦の只中で流通した点だ。情報の出どころ(ソース)と拡散者(メガホン)が分かれていたとしても、結果として誹謗中傷・デマの循環を助長した共同不法行為的な構図が、倫理的責任の議論を呼び込んでいる。

なお、兵庫県議会の会派一覧でも、「躍動の会」の名称と所属状況は確認できる(2025年9月時点)。今回の逮捕を受け、会派の説明責任や、3氏の政治的立場の再検討を求める声が強まっている。

選挙への影響と“犬笛”問題:誰が傷ついたのか

当時、立花氏は「2馬力選挙」を掲げ、再選を目指す斎藤知事を前面に推した。結果として知事は勝利したが、標的化された県議らの周辺では実害が生じた。自宅前での執拗な演説、SNSでの人格攻撃、家族の避難――こうした行為は、扇情的な“犬笛”(dog whistle)に呼応した群集行動として記録されている。今回の逮捕が示すのは、拡声器たる政治家の言葉が法的責任を問われ得るという、ネット拡散時代の“次の段階”だ。

法的論点を3行で

  • 死者名誉毀損:刑法上は保護法益に諸説あるが、判例上も死者の社会的評価を保護する趣旨で成立が認められる類型。今回の逮捕が「異例」とされるのは立件ハードルの高さゆえ。
  • 真実性・相当性:発言者側は「公共性・公益目的」「真実性(ないし真実相当性)」で違法性阻却を主張しうる。どこまで裏取りがあったかが争点。
  • 共同不法行為的構図:情報の源泉提供者と拡散者が分かれても、結果共同の評価を受けうる。政治倫理や会派のガバナンスにも波及。

SNSの反応

  • 『発言は自由』と『名誉の保護』の線引きを示すケースになりそう。裁判の見通しを丁寧に報じてほしい」
  • 躍動の会の3人は関係ないとは言えない。少なくとも説明は必要だし、議会として検証プロセスを作るべき」
  • 犬笛が鳴ると、一部のフォロワーが一斉に突撃する。ネット選挙時代の負の側面が凝縮してる」
  • 「死者を使ってまで政治的利益を得ようとするのは看過できない。一次情報の公開範囲や記者クラブの検証も課題」

※本節は公開投稿の傾向を編集部で要約。個人特定情報は記載していません。

時系列で振り返る(要約)

  1. 2024年〜2025年初:兵庫知事選の最中、立花氏が街頭・SNSで竹内氏らへの疑惑を拡散。県警は「事実無根」と答弁。
  2. 2025年1月:竹内氏が死去。立花氏はその後も発信を継続。
  3. 2025年2〜3月:情報提供を巡り、維新側が増山・岸口・白井の処分。3名は離脱し「躍動の会」を結成。
  4. 2025年6月:竹内氏の妻が名誉毀損で告訴
  5. 2025年11月9日:兵庫県警が立花氏を逮捕。翌10日に送検。
  6. 同11日:報道各社が「死者名誉毀損の立件」の異例性、供述内容を相次いで伝える。

編集部視点:3つの論点

  1. 「政治とプラットフォーム」の関係再設計――政治家の発言がSNS経由で増幅される構造に対し、発言の公共性検証可能性をどう担保するか。メディア側のファクトチェック手順の透明化も問われる。
  2. 会派ガバナンスと公文書管理――百条委の非公開情報の扱い、文書流通のフローチャート、内部通報制度の実効性など、議会運営の再点検が必要だ。
  3. 死者名誉毀損の再認識――被害者が反論できない領域での言論に、どこまで法の網を掛けるべきか。今回の結果は、同種事案の捜査・起訴の基準に影響しうる。

Q&A

Q. 今後の見通しは? A. 起訴/不起訴の判断、保釈の有無、発言の真実性・相当性の審理などが焦点。死者名誉毀損の立件は例が限られ、司法判断が注目される。:contentReference[oaicite:20]{index=20} Q. 3名の情報提供者の法的責任は? A. 現時点で刑事手続の報はない。だが政治倫理・会派ガバナンス上の説明責任は強く問われており、所属会派・議会としての検証も焦点。

まとめ

本件は、「ソースの欠陥 × 拡散装置」という二重の問題が、ネット選挙の時代にどれほど破壊的な結果を生むかを突きつける。死者の名誉が争点となった今回の逮捕は、単なるゴシップの域を超え、政治・メディア・プラットフォームの三者関係を再設計させる分岐点になりうる。情報を扱う側の倫理とチェック体制、そして受け手のメディアリテラシーまで含め、「言葉の責任」の輪郭をもう一度、私たち自身が描き直すときだ。

タグ:立花孝志/名誉毀損/兵庫県知事選/情報提供/躍動の会/SNS

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