フジテレビ系『めざましテレビ』公式Xが、11月17日に投稿していた予告ツイートを削除したことが分かりました。問題となったのは、アイドルグループtimeleszの篠塚大輝さんが翌18日の放送で「自作の一発ギャグ」を披露すると告知していた投稿です。
実際のオンエアでは、童謡『大きな古時計』の替え歌で「今はもう動かない、おじいさんにトドメ」と歌い、殴りかかるしぐさをしたことで、視聴者から批判が殺到。そのギャグを事前に「自作の一発ギャグ」と煽っていた公式Xの投稿にも矛先が向かい、番組側はツイート削除と「今後の番組制作に生かす」とのコメントを出す事態となりました。
「おじいさんにトドメ」でスタジオ凍る 朝の情報番組には不釣り合いな“暴力ギャグ”
篠塚さんは11月の「マンスリーエンタメプレゼンター」として、『めざましテレビ』に3回にわたり出演。18日はその最終日でした。番組終盤、マスコットキャラクター「めざましくん」から「最後に一発ギャグを」と振られると、
- 童謡『大きな古時計』のメロディーで「今はもう動かない、おじいさんにトドメ」と替え歌
- 右手を振り上げ、おじいさんを殴るようなしぐさ
を披露。スタジオは一瞬静まり返り、伊藤利尋アナウンサーが肩を抱きながら「これで終わりでいいのかー!」と叫んでエンディングへ流す、明らかに“フォロー色”の強い締め方となりました。
この様子がXで拡散され、
- 「高齢者をネタにするのは不謹慎すぎる」
- 「朝からこんな暴力ギャグは見たくない」
- 「おじいちゃんおばあちゃんも見ている時間帯なのに…」
といった批判が噴出。爽やかさや安心感が求められる“朝の情報番組”の空気と、暴力を想像させる替え歌ギャグの相性の悪さが、視聴者の拒否反応を一気に高めてしまったと言えます。
削除された「自作ギャグ」告知ツイート フジテレビのコメント
炎上の余波を受けて注目されたのが、『めざましテレビ』公式Xが前日17日に投稿していた予告でした。そこでは、
- 「あす18日(火)はtimelesz篠塚大輝さん マンスリーエンタメプレゼンター最終日」
- 「先週は友達から教わったギャグで盛り上げてくれたけど、明日は自作の一発ギャグを披露したいって言ってたよ」
と、篠塚さんの一発ギャグを“見どころ”として前面に押し出していました。しかし、この投稿は19日までに削除。視聴者の間では、
- 「あのギャグのせいで消したんだろう」
- 「事前に煽っておいて炎上したら削除はダサい」
といった声が上がっています。
J-CASTニュースの取材に対し、フジテレビは、
- 「番組公式Xの投稿は削除させていただきました」
- 「さまざまなご意見をいただいておりますので、今後の番組制作にいかしてまいります」
とコメント。投稿削除の理由を多くは語らなかったものの、「さまざまなご意見」という表現から、視聴者の批判や違和感の大きさを認識していることがうかがえます。
「自作」だからこそ重くなる責任 浮上している“パクリ疑惑”との絡み
今回、炎上を加速させた一因とみられているのが、公式Xが「自作の一発ギャグ」と強調していた点です。「友達から教わったギャグ」で笑いを取った前回出演から一歩進んで、「今回は自分のネタで勝負」という構図が明確に打ち出されていました。
ところがオンエア後、ネット上では、
- 「この替え歌、前からやってる人いなかった?」
- 「元ネタをSNSにアップしていた人がいる」
といった指摘が相次ぎ、「本当に自作なのか」「既存ネタの“借り物”ではないのか」という疑問も飛び出しています。現時点で、篠塚さんや番組側がパクリ疑惑について認めたり説明したりしているわけではありませんが、
「不謹慎」と受け取られる内容であるうえに、「自作」と打ち出しておきながら既存ネタと似ていると指摘されてしまったことで、ネタの倫理性とオリジナリティの両面で火種を抱えてしまった格好です。
デビュー9か月の“新人アイドル”に集中する批判 過去の炎上も
篠塚さんは、一橋大学に通う現役大学生で、芸能活動歴もダンス経験もほぼゼロの状態から、オーディション企画を経てtimeleszに加入した“シンデレラボーイ”です。デビューからまだ1年にも満たない段階で、
- ドリフ特番でのコント企画で「まだ習ってないっす」と発言し、「プロ意識が足りない」と批判される
- バラエティ出演でのリアクションやコメントが「軽い」「無責任」と受け取られ、SNSで炎上
など、たびたび議論の対象となってきました。
今回の「おじいさんにトドメ」騒動も、
- 番組側が「自作ギャグ」としてハードルを上げていたこと
- パブリックな朝の情報番組であること
- これまでの炎上歴との“積み重ね”
が重なり、「またか」「さすがに線を越えた」という空気を生みやすい状況だったと言えるでしょう。
一方で、
- 「バラエティの空気をまだ読み切れていないだけで、悪意はなさそう」
- 「番組側がきちんと内容をチェックしていれば、止められたのでは」
といった、本人だけに責任を押しつけるべきではないという声も出ています。新人タレントに「攻めた笑い」を求めつつ、その結果炎上したら個人だけを叩く――そんな構図への違和感を指摘するコメントも少なくありません。
公式Xの役割と責任 “煽り過ぎる予告”はどこまで許されるのか
今回の一件でクローズアップされたのは、番組公式Xの「予告」という行為の重みです。公式アカウントの投稿は、
- 出演者や内容を“見どころ”として前面に押し出す役割
- 視聴者の期待感を高め、SNS上の話題を作るプロモーション機能
を担っていますが、そのぶん、
- 既に収録済みの内容であれば、事前に危うさを察知できたのではないか
- 「自作の一発ギャグ」とわざわざ強調する必要があったのか
といった疑問も生まれます。
結果として「不謹慎」と受け取られたギャグを、前日から公式アカウントが盛り上げていたという構図は、視聴者からすれば“二重にズレていた”ように映ってしまった可能性があります。
フジテレビが「今後の番組制作にいかす」とコメントした背景には、
- オンエア内容そのもののチェック体制
- それをSNSでどのように伝えるかという編集・広報のあり方
の両方を見直さざるを得ない、という認識があるのかもしれません。
求められるのは「叩き切り」ではなく、学びと改善
今回の騒動を受けて、篠塚さん個人には非常に厳しい声が集まっていますが、一方で、
- 「若手が失敗できない空気のほうが怖い」
- 「問題は問題として指摘しつつ、どう改善していくかを見たい」
といった、“成長の余地”を見守ろうとする意見もあります。
朝の情報番組としての『めざましテレビ』には、
- 視聴者の生活に寄り添う番組であること
- 新しいタレントにチャレンジの場を与えること
という二つの役割があります。今回の炎上を「もう二度と若手にギャグを振らない」「失敗しそうなことは全部やめる」という方向に振り切ってしまえば、番組もタレントも何も学べないでしょう。
必要なのは、
- どこがなぜ不快感につながったのかを、出演者・スタッフ双方が冷静に振り返ること
- 「攻める笑い」と「朝の番組としてのライン」のすり合わせを丁寧に行うこと
- 公式Xを含むプロモーションの言葉選びや煽り方を見直すこと
ではないでしょうか。
炎上の熱が冷めたとき、篠塚大輝さんにとっても『めざましテレビ』にとっても、この出来事が「ただ叩かれた事件」で終わるのか、「失敗から考え方をアップデートする転機」になるのかが問われています。

