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【続報】aespa“きのこ雲ランプ”騒動、オンライン署名は12万超 国会でも紅白出場に疑問の声…NHKはどう答えたのか

aespaニンニン炎上

NHK紅白歌合戦への出場をめぐり、韓国発の4人組ガールズグループ・aespa(エスパ)が再び大きな波紋に包まれています。きっかけとなったのは、 メンバー・ニンニンの「きのこ雲ランプ」投稿をめぐる炎上と、紅白出場の取りやめを求めるオンライン署名が12万件を超えたという事実。 さらに12月2日には参議院総務委員会でこの件が取り上げられ、NHKの姿勢が問われました。

発端は「きのこ雲」を想起させるランプ投稿

問題とされているのは、aespaの中国人メンバー・ニンニンが2022年にファン向けアプリへ投稿した一枚の写真です。 そこには、原子爆弾の爆発で生じる「きのこ雲」を思わせるデザインの卓上ライトが写っており、彼女は英語で 「I bought a pretty light~~~how is it?」(かわいいライトを買ったよ、どう?)とコメントしていました。

本人が原爆被害との関連をどこまで認識していたかは不明ですが、 日本では広島・長崎の惨禍と結びつけて受け止める人が多く、 「それを“かわいい”と表現するのは配慮に欠けるのではないか」という批判が一気に噴出。 紅白出場が発表されると、「原爆を想起させる投稿をしたグループを国民的番組に出すべきか」という論争に発展しました。

国会で紅白出場が俎上に 「公共放送としての信頼を失う」との指摘も

12月2日の参議院総務委員会では、日本維新の会・石井苗子議員がこの問題を正面から取り上げました。 石井議員は、紅白出場歌手の一人が「きのこ雲」を想起させるライトを「プリティ」と評した投稿に触れたうえで、 紅白出場停止を求めるネット署名が10万人を超えている現状を紹介。

そのうえで、「NHKはこのグループの出場をどのような判断・整理のもとで認めたのか」とただしました。 事実上、aespaの起用方針そのものに対し、公共放送としての説明責任を求めた形です。

これに対してNHKの山名啓雄専務理事は、所属事務所への確認を行った結果として、 「当該メンバーに原爆被害を軽視し揶揄する意図がなかったことを確認している」と回答。 そのうえで、紅白への出演に問題はないとの認識を示しました。

石井議員はさらに、SNS時代の炎上リスクに触れながら、 「SNSで何かが起こるたびに、その都度どうしたらいいかと考えるだけでは済まない」 「こうした事案が続けば、公共放送としての信頼を失いかねない」とNHKを牽制。 事前のチェック体制やガイドライン整備の必要性を強く訴えました。

オンライン署名は12万件超 世論の「重さ」と紅白のブランド

オンライン署名サイト「Change.org」では、 「aespaの紅白出場停止を求めます」というキャンペーンが立ち上げられています。 12月3日時点で、賛同者はすでに12万人超。 これは単なる一部ファンの不満の声ではなく、 「紅白」という国民的番組の在り方まで問う規模に膨らんでいるといえます。

署名に参加している人たちの背景や動機は一様ではありませんが、 大きく分けると次のような問題意識が交錯していると見られます。

  • 原爆被害を連想させるデザインを「かわいい」と表現した感覚への違和感・怒り
  • 戦後80年という節目の空気感のなかでの起用への疑問
  • 紅白=「日本の顔」としてふさわしいのかどうかという価値判断

一方で、ネット上には 「意図がなかったのなら、ここまで叩くのは行き過ぎではないか」 「音楽やパフォーマンスそのものを評価すべきだ」という受け止め方もあります。 ただ、そうした意見を含めても、 今回の騒動が“紅白の出演者選考は誰のために、何を基準に行われているのか”という根源的な問いを投げかけていることは間違いありません。

NHK側の「意図なし」確認は十分だったのか

NHKは今回、「原爆被害を軽視・揶揄する意図はなかった」と所属事務所から確認したことを根拠に、 出場に問題はないと判断したとしています。

しかし、被爆地を抱える日本社会では、「意図がなければ許されるのか」という点は非常にセンシティブです。 被害者・遺族・関係者にとっては、 「結果として傷つけてしまった以上、どう向き合うのか」がより重要になる場面も少なくありません。

そうした意味で、視聴者の一部からは

  • NHK自身が番組内などで経緯を説明し、議論の場を設けるべきではないか
  • 所属事務所のコメントだけでなく、本人からの言葉をきちんと届ける機会が必要ではないか
  • 選考の基準やプロセスを、もう少し透明化してほしい

といった声も根強くあります。 それだけ、今回の問題は「一アーティストの炎上」を越えて、 公共放送が戦争・原爆といったテーマにどう向き合うのかという重い問いと結びついているのです。

aespa側に向けられる視線と、K-POPのグローバル化が突きつける課題

aespaは、韓国・日本・中国出身の4人で構成された多国籍グループです。 K-POPグループが世界各地で活動するなかで、 それぞれの国・地域固有の歴史問題やタブーに直面する機会も増えています。

今回の件は、グローバルに活動するアーティストに求められる「歴史認識」と「情報感度」の難しさも浮き彫りにしました。 たとえ悪意や政治的意図がなかったとしても、

  • 投稿する前に、そのモチーフがどのような意味や歴史的背景を帯びているのか
  • ファン層の多い国・地域ではどのように受け止められうるのか

といった点を事務所・本人が丁寧に確認していくことが、これまで以上に求められているといえるでしょう。

同時に、視聴者やファン側にも、 感情的な非難だけでなく、なぜそれが問題なのかを冷静に伝えていく姿勢があることで、 お互いの距離を少しずつ縮めていくことができるのかもしれません。

紅白・NHKに求められる「ガイドライン」と説明責任

石井議員が指摘したように、 いまやSNSをきっかけにした炎上や論争はあっという間に拡散し、簡単には収まりません。

そのなかでNHKのような公共放送に求められるのは、

  • 炎上を恐れて萎縮するのではなく、事前のチェックと事後の説明を徹底すること
  • 被爆地を抱える国の放送局としての歴史的配慮・姿勢を、国内外に伝えていくこと
  • 出演者の選定基準や、問題が起きた際の対応方針をある程度オープンにしていくこと

なのではないでしょうか。

紅白歌合戦は、単なる音楽番組を超えた「年越しの国民行事」として重い意味を持ち続けています。 だからこそ、今回のaespaをめぐる騒動は、NHKと視聴者の信頼関係そのものが試されている出来事ともいえるでしょう。

おわりに:炎上で終わらせず、「どう向き合うか」を問うきっかけに

オンライン署名は12万件を超え、国会でも取り上げられたaespa「きのこ雲ランプ」問題。 その是非については、今後も賛否が割れ続ける可能性があります。

しかし、重要なのは「誰かを叩いて終わり」にすることではなく、

  • なぜ多くの人が傷つき、怒りや不安を覚えたのか
  • その感情を、今後にどう生かしていくべきなのか
  • アーティスト・メディア・視聴者それぞれが、歴史や記憶とどう向き合っていくのか

を考えるきっかけにできるかどうか、という点かもしれません。

紅白本番まで、まだ時間は残されています。 NHK、そしてaespa側がどのような姿勢・言葉を示していくのか。 そして、それを受けて視聴者がどう受け止めるのか――。 この騒動の行方は、単なる一組のアーティストの問題を超え、日本の「記憶」と「エンターテインメント」のあり方を映す鏡となりそうです。

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