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BARBEE BOYS・KONTA、不慮の事故で四肢完全麻痺を公表 それでもマイクを握る「4PEACE」再始動への覚悟

barbie boys

80年代後半の音楽シーンを駆け抜けたロックバンド・BARBEE BOYS(バービーボーイズ)のボーカル&サックス、KONTAが衝撃の事実を公表した。公式サイトによると、不慮の事故によって命の危機に瀕しながら一命を取り留めたものの、現在は四肢が完全麻痺し「肩から上しか使い物にならない」状態だという。

KONTAは自らの言葉で「医師からは『命は永らえない』と告げられたが、生き延びてしまった」と振り返りつつ、「肩から上しか使い物にならないのではただの帽子掛けなので、せめて唄うことにした」と独特のブラックユーモアを滲ませたコメントを発表。ファンからは驚きとともに、「生きていてくれて良かった」「また歌声が聴けるだけで十分」と、温かいエールが相次いでいる。

新体制「BARBEE BOYS 4PEACE」とは

あわせてバンドの公式サイトでは、ドラマーの小沼俊明(コイソ)が勇退し、KONTA・杏子・いまみちともたか・ENRIQUEの4人による新体制「BARBEE BOYS 4PEACE」として活動を続けることも発表された。名称には「4人で平和に(4 PEACE)」という意味が込められているようにも読み取れる。

4PEACEでは、サックスを吹くことはできないものの、KONTAはボーカリストとしてステージに立ち続ける意向を表明。「変わり果てた身体と、変わらぬふてぶてしさを楽しんでほしい」と記しており、決して湿っぽく終わらせない“バービーらしさ”は健在だ。

「暗闇でDANCE」から「目を閉じておいでよ」へ バービーボーイズの軌跡

BARBEE BOYSは1982年、KONTAといまみちともたかを中心に結成。その後、元OLの杏子が加入し、ツインボーカル+サックスという独自の編成で注目を集めた。1984年のメジャーデビュー曲「暗闇でDANCE」、そして1989年の大ヒット曲「目を閉じておいでよ」など、都会的でひねりの効いた歌詞とクールなサウンドで時代を象徴する存在になっていく。

1992年に一度解散したものの、その後もイベントやフェスで不定期に再集結。2019年には本格的な再始動を宣言し、単発の再結成にとどまらない“現在進行形のバンド”としての活動を再開していた。還暦を超えてなお、当時と変わらぬ鋭さと色気を放つステージングは「令和に蘇った80’sの伝説」として再評価されていた矢先の出来事だっただけに、今回の発表は多くのファンにショックを与えている。

「サックスは吹けない」それでもマイクの前に立つ理由

KONTAと言えば、しゃがれたハイトーンボイスとサックスのフレーズが一体となった唯一無二のフロントマンだ。ライブでは歌いながらサックスを吹き、ステージ上を縦横無尽に動き回るスタイルがトレードマークだった。

しかし四肢完全麻痺となった今、かつてのようにサックスを構え、ステージを駆け回る姿はもう見られない。それでも彼は「唄うことにした」と宣言している。身体の自由を大きく奪われてもなお、声ひとつで観客の心を揺さぶるという、ボーカリストとしての原点に立ち返ったとも言える決断だ。

ファンの間では、「サックスがなくてもKONTAの声があればバービーだ」「車椅子でもいいからステージにいてほしい」といった、スタイルよりも存在そのものを歓迎する声が多数を占めている。

ドラム小沼俊明の勇退 “5人のバービー”から“4PEACE”へ

今回の発表では、長年バンドを支えてきたドラマー・小沼俊明の勇退も大きなトピックだ。小沼はドラマーとしてだけでなく、音楽出版社オーガスタパブリッシングの社長として音楽業界を裏方から支える存在でもあり、メンバー・スタッフ双方から厚い信頼を寄せられてきた。

小沼の脱退により、結成以来続いてきた「5人のBARBEE BOYS」というオリジナルな形は一区切りを迎えることになる。ただし一方で、「4PEACE」という新しい名義には、状況が変わっても歩みを止めないという前向きな意思表明も感じられる。

メンバー個々の活動と、バンドにまつわる“ゴシップなきレジェンド感”

解散後、杏子はソロシンガーやラジオパーソナリティとして活躍し、いまみちともたかはギタリスト・プロデューサーとして多くの作品に参加。ENRIQUEもサポートベーシストとして引く手あまたの存在で、メンバー各自が音楽シーンの第一線で活動を続けてきた。

他のバンドにありがちな派手なスキャンダルやメンバー同士の泥沼トラブルといったゴシップとは距離を置き、「ときどき集まってはキレキレのライブをやって帰っていく」というクールなスタンスを貫いてきたのもバービーボーイズらしさだろう。だからこそ今回の「不慮の事故」というニュースは、ファンにとっても想定外の“衝撃”として受け止められている。

ファンが願うのは「無理のない形で、もう一度あの声を」

KONTAは現在、「もっか錬成の日々」と表現しながら、4PEACEとして活動する準備を進めているという。四肢麻痺という厳しい現実と向き合いながら練習を続けることは、想像を絶する苦労が伴うはずだ。

それでも、「命は永らえない」と宣告された状況から「唄う」場所へ戻ろうとしているという事実は、ロックバンドの物語としてあまりにドラマチックだ。かつて「目を閉じておいでよ」と歌ったバンドが、今度は変わり果てた現実を真正面から見据えながら、それでも前へ進もうとしている。

ファンが望むのは、かつての完全復活というよりも、「KONTAが無理をせず、自分のペースでステージに立てること」だろう。車椅子であっても、座ったままであっても、その声が鳴り響く限り、BARBEE BOYSの物語は続いていく。

「4PEACE」のステージは、闘い続けるロックの証明に

今回の発表は、単なる活動再開のお知らせではない。事故で四肢を失っても、なお声を武器にステージへ戻ろうとするKONTAの「生き方そのもの」を示す宣言でもある。

カッコつけたロックでも、懐かしさだけを売りにした再結成でもない。闘病と障がいという現実を抱えながらも、「それでも歌う」と決めたフロントマンと、その選択を支える仲間たち。BARBEE BOYS 4PEACEのステージは、きっとこれまで以上に“生き様”がにじみ出る場所になるはずだ。

次に彼らがステージに立つその日、観客席からどれだけの「おかえり」と「ありがとう」が飛び交うのか。ロックバンドの新たな伝説の幕開けを、静かに、そして確かに待ちたい。

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