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【独自報道】広陵高校野球部で暴力事案 3年生2人を書類送検方針 名門校を揺るがす「カップ麺暴行」の波紋

広陵高校野球部

広島県の名門・広陵高校野球部で起きた暴力事案について、広島県警が現在の3年生部員2人を 暴行の疑いで書類送検する方針を固めたことが分かりました。

強豪校・名門校として知られる広陵高校で起きた“カップ麺暴行”は、
高校野球界全体の「指導」と「暴力」の線引きをあらためて問い直す出来事

となっています。

「寮でカップ麺」ルール違反から暴行に発展

報道によると、事案が起きたのは2025年1月。硬式野球部の寮内で、 部の規則に反してカップ麺を食べた1年生に対し、当時2年生だった複数の部員が暴力を振るったとされています。

問題となったのは、ルール違反に対する“注意”や“指導”の範囲を明らかに超えた行為だったという点です。


被害生徒は殴る・蹴るといった暴行を受け、全治2週間のケガを負ったとされ、3月末には学校を転校。
その後、6月に警察へ被害届を提出した

と伝えられています。

「寮での飲食禁止」「間食禁止」といった厳しいルールは、強豪校の運動部では珍しくありません。 しかし、ルール違反に対する“制裁”として先輩が後輩を殴る・蹴るという構図は、 もはや「指導」ではなく暴力・いじめの領域です。日常的な上下関係の中で、 暴力が“当たり前”になってしまう危うさが、今回の事案から垣間見えます。

3年生2人を書類送検へ 刑事事件として扱われる重さ

広島県警はこれまで、関係する部員らから任意で事情聴取を進めてきました。 その結果、当時暴行に直接関わったとみられる現在の3年生2人について、 近く暴行の疑いで書類送検する方針を固めたと報じられています。

書類送検は、逮捕こそされていないものの、警察が「刑事事件として立件に値する」と判断し、 検察に送致する手続きです。

これまで学校内・部活内だけで“内々に処理されがちだった暴力行為が、
公の場で刑事責任の対象として扱われる段階に来ている

ことを示す象徴的な動きともいえます。

もちろん、書類送検=即有罪というわけではありませんし、 最終的な処分は今後の捜査や検察・家庭裁判所の判断に委ねられます。 ただ、「部活の延長」や「しつけ」「可愛がり」といった言葉で曖昧にされてきた行為が、 明確に“暴行事件”として捉えられ始めていることは、高校スポーツ全体にとっても無視できない変化です。

被害生徒は転校 第三者委員会も設置され調査中

関係者によると、暴力を受けた1年生はケガの治療を受けたのち、 3月末には広陵高校を転校しているとのことです。


部活どころか学校そのものを離れざるを得なかったという事実は、
暴力が被害生徒の人生に与えた影響の大きさを物語っています

広陵高校はこの事案を受け、10月に第三者委員会を設置。 外部の弁護士らも交え、事実関係や当時の指導体制、部内の風土などについて調査を進めているとされています。 調査結果の公表時期は明らかになっていませんが、再発防止策と合わせて社会に説明することが求められます。

名門校ゆえに、「甲子園で勝つこと」「結果を出すこと」に意識が偏りがちな一面もあるかもしれません。 しかし、勝利以上に優先されるべきは、生徒ひとりひとりの安全と尊厳です。 被害を告発した生徒が“泣き寝入り”せずに被害届を出したことは、 閉じた部活動文化の中に風穴を開ける大きな一歩と言えるでしょう。

部活動と「暴力の連鎖」 高校野球界に突きつけられた課題

高校野球をはじめとするスポーツ強豪校では、長年にわたって 「礼儀」「上下関係」「鍛錬」といった美名のもとに、暴力や過度なしごきが容認されてきた歴史があります。 近年はSNSや告発記事をきっかけに明るみに出るケースが増え、各地で指導者の処分や部の活動停止が相次いでいます。

広陵高校の今回の事案は、いわゆる“指導者の体罰”ではなく、 先輩部員による後輩への暴行とされていますが、その背景には
・「先輩の言うことは絶対」という絶対的な上下関係
・ルール違反を“制裁”で正そうとする価値観
・暴力を目撃しても声を上げにくい空気
といった構造的な問題が存在すると指摘する声もあります。

「ルールを破ったのだから殴られても仕方ない」という発想が、いまだに根強く残っている限り、
似たような事案はどの学校でも起こり得る

――。今回のケースは、 広陵高校だけでなく、高校野球界全体に対する警鐘でもあります。

学校・指導者・保護者はどう向き合うべきか

今回の暴力事案を受けて、広陵高校には厳しい批判だけでなく、 「真相を徹底的に明らかにしてほしい」「名門だからこそ、模範となる再発防止策を示してほしい」 といった声も寄せられています。

学校側は第三者委員会の結果を踏まえ、
・寮生活のルールや運用の見直し
・先輩・後輩間のいじめや暴力を防ぐ仕組みづくり
・指導者による日常的なチェック体制の強化
・生徒が匿名でも相談できる窓口の整備
など、具体的な改善策を示すことが不可欠です。

また、保護者やOB・OGも「勝利至上主義」だけを求めるのではなく、 子どもたちが安全な環境で野球に打ち込めるよう、学校側に目を光らせることが求められます。 “名門校だから大丈夫”という思い込みを捨てることが、暴力の連鎖を断ち切る第一歩と言えるでしょう。

書類送検後の行方と、被害生徒へのケア

今後、3年生2人が書類送検されたのち、どのような法的判断が下されるかはまだ分かりません。 反省の度合いや被害者との示談状況、これまでの素行など、さまざまな事情が考慮されることになります。

一方で、忘れてはならないのは被害生徒のケアです。


怪我が治ったとしても、暴力を受けた恐怖や、「自分だけが悪いのではないか」といった罪悪感は、
長く心に傷として残ることがあります

。転校先で新しい生活を送るうえでも、 周囲の大人による継続的なサポートが欠かせません。

広陵高校の暴力事案は、ひとつの学校の不祥事として片付けてしまうにはあまりに重いテーマを含んでいます。 高校野球ファンとして、そして一人の大人として、 「どんな環境で子どもたちにスポーツをさせるべきか」を考え直すきっかけとしたいところです。

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