お笑いコンビ・ナイツの塙宣之の何気ないボヤきが、ついにコンビニ大手・ローソン(約1万4600店舗)を動かしました。
店内いれたてコーヒー「マチカフェ」のカップに大きく印字されたロゴマークの「L」が、サイズ表記のL(ラージ)と誤認されやすいとして、 ローソンはカップデザインの変更と店内での注意喚起を行う方針を発表しました。
発端はナイツ塙のラジオぼやき
きっかけとなったのは、塙が11日放送のラジオ番組「ナイツ ザ・ラジオショー」で語った体験談です。
塙は本来Mサイズのコーヒーを買うつもりだったものの、カップ正面に大きく描かれた「L」の文字を見て 「あ、Lサイズか」と勘違い。セルフレジでLサイズの料金を支払ってしまったと明かしました。
その後、カップにコーヒーを注いだところ、 「ドドドドドって入れたらあふれちゃってさ。よく見たらローソンの“L”だった」と苦笑い。
番組内では「これ絶対間違えるよね!」「あれダメだよね」と、率直にデザインへの疑問を口にしていました。
問題の「L」は新PB『3つ星ローソン』のロゴだった
では、なぜここまで誤認が起きやすかったのでしょうか。
今回の「L」は単なるアルファベットではなく、ローソンが2025年から本格展開している プライベートブランド(PB)「3つ星ローソン」のブランドロゴです。
「3つ星ローソン」は、
・圧倒的な美味しさ
・人への優しさ
・地球(マチ)への優しさ
という3つの約束を星マークで表現し、その上に「L」の文字を重ねたデザインが特徴になっています。 このロゴはパッケージ全体をモノトーンでまとめたマチカフェのカップにも大きく配置されていました。
ところが、カップ正面に大きく「L」、そのすぐ近くに小さくサイズ表記――というレイアウトだったため、 「L = サイズL」と誤解してしまう利用者が続出。塙のエピソードは、その“あるある”を象徴する事例として一気に拡散していきました。
ローソンの対応は“超速” 約1週間でデザイン変更を決断
塙のラジオでの発言が話題になると、ローソンはすぐに問題を認識。
18日には「Lロゴがサイズ表記と誤認されやすいとのご意見を受け、マチカフェカップのデザインを変更する」と発表しました。
対応のポイントは大きく3つあります。
- 店内に注意喚起の掲示を行い、現在のカップでも誤認が起きにくいよう情報を補う
- すでに流通しているカップ在庫を活かしつつ、およそ3か月後をめどに新デザインへ切り替える
- 廃棄を最小限に抑え、環境負荷にも配慮した形でのリニューアルを行う
お笑い芸人のラジオでのひと言が、大企業のPBデザインを動かした形ですが、 指摘から約1週間で「デザイン変更+注意喚起」まで踏み込んだスピード感は、 流通業界の専門家からも「英断」「危機対応として満点」と評価されています。

“わかりにくいデザイン”はこれが初めてではない? カレー問題も再燃
ローソンのPBデザインを巡る賛否は、実は今回が初めてではありません。
2020年ごろ、ローソンがPBパッケージを大々的に刷新した際、 カレーやシチューなどのレトルト商品のデザインが「何の商品かひと目で分かりにくい」として ネット上で大きな議論を呼びました。
ベージュやグレーの落ち着いた色合いに、小さな文字とイラストで構成されたパッケージは、 一見するとおしゃれで統一感のあるデザイン。しかし、 店頭でカレーとビーフシチュー、麦茶と緑茶の見分けがつきにくいという声が相次ぎ、 「ユニバーサルデザインの観点から見てどうなのか」という専門家の指摘記事まで登場しました。
当時の議論では、
・「部屋に置いても生活感が出にくい」「インテリア的には好み」という支持派
・「買い物中にいちいち文字を読むのは負担」「高齢者や視力が弱い人には不親切」という批判派
が真っ向から対立。結果として、ローソンは一部商品のパッケージを再リニューアルし、 商品写真や商品名を大きく表示する、より“わかりやすい”方向に舵を切っています。
同じデザイナーに再び批判が集中
このときのPBリニューアルと今回の「3つ星ローソン」のロゴには、共通点があります。
いずれも国内外で高い評価を受けるデザインオフィスがブランディングを担当しており、 その中核を担ってきたデザイナーに、再び批判の矛先が向いている点です。
かつてのPB刷新では、「わかりやすさ」より「生活に溶け込むおしゃれさ」を優先した結果、 「シンプルすぎて商品が見分けられない」という“デザインの敗北”とまで揶揄されました。
そして今回のマチカフェ問題では、ブランドロゴとしての「L」が、実用情報であるサイズ表記よりも目立ってしまったことで、 同じように「ユーザー目線が足りないのでは」との声が上がっています。
とはいえ、企業側から見れば、
・PB全体を貫く統一ロゴを作りたい
・売り場全体を一気に“ブランド化”したい
という狙い自体は理解できます。問題は、そのデザインを実際の売り場・実際のユーザー行動に落としたときの“体験”まで、どこまで具体的にイメージできていたか、という点でしょう。

なぜ“Lロゴ”はここまで誤認されたのか
今回のマチカフェカップについては、デザインだけでなく運用側の条件も誤認を助長したと考えられます。
- セルフレジやセルフ抽出機が普及し、客が自分でカップを選び、会計し、注ぐスタイルが一般的になっている
- 忙しい朝や昼休みなど、ユーザーは「ほぼ一瞬の視認」で判断しがち
- その状況で、カップ正面に大きく「L」、サイズ表記は目立たない位置に小さく表記、という構図だった
つまり、 「一瞬見て直感的に分かる情報」として最も強く目に入る位置に“サイズではないL”を置いてしまった[/y] ことが、今回の誤認騒動の本質と言えます。
ローソンの“神対応”でイメージはむしろプラスに?
もちろん、企業としては本来避けたいミスではありますが、
・ラジオでの指摘を真摯に受け止める
・広報として関係各所にも丁寧に報告する
・廃棄を出さないよう在庫を活かしつつ、3か月後には新デザインに切り替える
という一連の動きは、コンビニ業界では異例のスピード感です。
塙本人もラジオで「こういうことがあるんだなとビックリしました」と驚きを語り、 関係者からも「災い転じて福となす」「超速神対応」と評価する声が出ています。
結果的に、ローソンに対して「ちゃんとユーザーの声を聞いてくれる会社」というイメージが強まった側面もあるでしょう。
これからのパッケージデザインに求められること
コンビニ各社はここ数年、PBや店内ブランドのデザインに力を入れてきました。
しかし、その過程で何度も浮かび上がってきたのが、 「おしゃれ」と「分かりやすさ」のバランスをどう取るかという永遠のテーマです。
ローソンの例は、 「ブランド側が伝えたいコンセプト」よりも、「ユーザーが一瞬で理解できる情報設計」を優先すべき場面がある[/y> ことを改めて示したと言えます。特にコンビニのように、
- 短時間での買い物が前提
- 幅広い年齢層・リテラシーの人が利用
- セルフレジ・セルフサービスが増加
といった環境では、ユニバーサルデザインの視点を無視することはできません。
次に登場する「新マチカフェカップ」が、
・ブランドロゴとしての「3つ星ローソン」らしさ
・サイズが直感的にわかる視認性
をどう両立させるのか――。
今回の騒動は、単なる「デザインミス」として消費するには惜しい、パッケージデザインとUX(ユーザー体験)の教科書のような事例になりそうです。
