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大谷中学・高校の生徒がバリ島で万引き動画拡散…学校が窃盗行為を認め謝罪 研修旅行中の「盗み撮り炎上」が突きつける現実

大谷万引き

京都市東山区にある大谷中学・高校の海外研修旅行中に撮影されたとみられる動画がSNSで拡散され、現地店舗での窃盗行為(万引き)が指摘されていた問題で、学校側が公式サイトを通じて生徒による盗みを認め、謝罪文を公表した。

大谷高校謝罪文
大谷高校のホームページに掲載された謝罪文

バリ島の衣料品店で生徒が「商品をカバンへ」…動画が瞬く間に拡散

事の発端は、インドネシア・バリ島の衣料品店とみられる店内で撮影された短い動画だった。複数の若い男性が日本語で会話しながら、陳列された衣類を堂々とカバンの中に入れる様子が映されており、その映像がX(旧Twitter)などで一気に拡散。

動画には制服や持ち物などから「大谷中学・高校の生徒ではないか」との指摘が相次ぎ、瞬く間に学校名が特定されるかたちとなった。国内だけでなく、バリ島側の店舗や現地の人々にも届きかねない“グローバル炎上”となった点が、今回の事案の深刻さを物語っている。

学校側が窃盗行為を認め謝罪 「海外の邦人にも影響を及ぼしかねない重大な行為」

こうした状況を受け、大谷中学・高校を運営する学校法人「真宗大谷学園」は、8日に学校公式サイト上で乾文雄学校長名義のコメントを掲載。そこで学校側は、4日、海外研修旅行先の店舗で生徒が窃盗行為に及んだことを確認したと明言し、被害店舗と関係各所、保護者、そして社会に向けて深く謝罪した。

声明では、生徒の行為について「被害者の皆さまへの配慮はもとより、海外における邦人の皆さまにも影響を及ぼしかねない重大な行為」と厳しく位置づけている。これは、単なる「万引き」ではなく、日本人全体の印象や、日本人観光客への信頼を損ないかねない外交的なダメージを伴う行為だという認識を示したものだ。

学校側は現在、事案の詳細な経過や関わった生徒の人数、処分の内容などについて調査を進めており、「確認が出来次第、改めて経過や対応方針を報告する」としている。

海外研修での不祥事が持つ“2つのリスク”――被害者と日本人全体への影響

今回の件で改めて浮き彫りになったのは、「海外での生徒の一挙手一投足が、日本という国のイメージに直結する時代」になっているという現実だ。

まず第一に当然ながら、被害店舗や現地スタッフへの直接的な被害がある。少額の商品であろうと、商売をしている側からすれば立派な窃盗であり、補償や謝罪が必要になるのは言うまでもない。

そして第二に、「日本人観光客=マナーの良い旅行者」という評価そのものが揺らぐリスクだ。近年は、観光客のマナー問題が世界各地で取り沙汰されており、日本人も決して「例外」ではない。今回のように、制服姿の学生集団による盗みの動画が拡散されれば、

  • 日本からの修学旅行・研修ツアーの受け入れを敬遠する店舗や施設が出てくる
  • 「日本人だから安心」という信頼が徐々に崩れ、警戒される存在になってしまう

といった影響も懸念される。この点を学校が「海外における邦人の皆さまにも影響を及ぼしかねない」と表現したのは、大げさではなく現実的な危機感に基づいたものだろう。

「バレなければいい」「みんなやっている」が命取りになるSNS時代

今回のような窃盗行為は、昔から“武勇伝のように”語る不良グループがいたのも事実だ。しかし現在は、誰かがスマホで撮影し、数クリックで世界中に発信できてしまう時代である。

加えて、SNSでは動画拡散後に「制服」「しゃべっている言葉」「校章」「持ち物」などから、驚くほどの速度で学校名や個人が特定されていく。本人たちにその自覚がどこまであったのかは不明だが、

  • 「ちょっとした悪ふざけ」のつもりでやった行為が、一生ネットに残る“前科”になる
  • 名前や顔が半永久的に検索結果に残り、進学や就職にも影響を及ぼす

というリスクは、今や教員や保護者が何度でも繰り返して伝えるべき現実だろう。

学校側の責任と「研修旅行の意義」が問われる

もちろん、窃盗行為そのものの責任は実行した生徒個人にある。しかし同時に、「未成年を海外に連れ出し、教育的な研修を行う」という名目でツアーを組んだ以上、学校側の指導体制も厳しく問われることになる。

具体的には、

  • 事前指導で現地の法律・文化・マナーについてどこまで踏み込んで説明していたのか
  • 「万引きは日本でも犯罪、海外ならなおのこと重大」という認識を徹底していたのか
  • 引率教員の人数や巡回体制など、生徒を見守る体制は十分だったのか

といった点が、保護者や世間から厳しくチェックされるはずだ。海外研修は本来、

  • 異文化理解
  • 語学やコミュニケーション力の向上
  • 視野を広げる経験

など、多くの教育的メリットが期待されるプログラムだ。それが、生徒の不祥事によって「危険」「やめた方がいい」とネガティブに捉えられてしまえば、本末転倒と言わざるを得ない。

今後の焦点は「処分」と「再発防止策」

大谷中学・高校は、現時点ではまだ詳細な処分内容を公表していないものの、

  • 関わった生徒への指導・処分(停学・退学・研修参加停止など)のあり方
  • 被害店舗への補償や正式な謝罪の段取り
  • 今後の海外研修を継続するのか、それとも一時見合わせるのか

といった点は、今後の大きな焦点となるだろう。

一部では、

  • 「加害生徒だけでなく、同じ学年・同じコース全体への連帯責任的な処分は妥当なのか」
  • 「学校ブランドを守るために、事実を矮小化・隠蔽することはないか」

といった懸念の声も上がりつつある。信頼回復のためには、何よりもまず“事実の開示”と“透明性の高い説明”が不可欠だ。

「海外=非日常」ではなく「日常の延長線上」であるという認識を

今回のバリ島での窃盗動画騒動は、

  • 日本国内での「万引き」という感覚の軽さ
  • 海外に出た途端にモラルのタガが外れてしまう未熟さ
  • SNS時代ならではの“炎上リスク”に対する想像力の欠如

といった問題を、残酷なほど分かりやすく世にさらしてしまった。だが同時に、

「海外に出ても、日本人としてのマナーと責任は常に自分に付いて回る」という当たり前の事実を、社会全体で再確認するきっかけになったとも言える。

今後、大谷中学・高校がどのような形で真相を説明し、関係者への謝罪と再発防止策を示していくのか。そして、同様の海外研修を行っている全国の学校が、この事案をどのように“自分ごと”として受け止めるのかが問われている。

軽いノリの「悪ふざけ」であったとしても、世界はそれを“犯罪”として厳しく見ている。今回の一件が、これから海外を訪れる学生たちへの、重く苦い教訓となることは間違いないだろう。

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