今年6月、日本テレビ・福田博之社長が緊急会見を開き、『ザ!鉄腕!DASH!!』で「重大なコンプライアンス違反があった」として国分の降板を発表したところから、この騒動はスタートした。
しかし、会見では「被害者のプライバシー保護」を理由に具体的な内容は一切明かされず、福田社長は終始「理由は言えない」を繰り返すのみ。この不透明さが視聴者・スポンサー、そして何より国分本人への不信感を呼ぶ結果となった。
「コンプラ違反」だけが独り歩きした4か月
日テレ会見後、国分を起用していた各局も右へならえの形でレギュラー番組を次々と降板処理。
やがて国分は「無期限の活動休止」となり、TOKIOそのものも解散という最悪の事態に発展した。にもかかわらず、当の日本テレビからも国分本人からも、違反内容の中身については沈黙が続いたまま。世間に残ったのは、
- 「重大なコンプラ違反をした人物」というレッテル
- しかし、何をしたかは誰も説明しない、できない
という、非常にいびつな構図だけだった。
この不透明さが4か月以上続いた今年10月、ようやく国分側が動く。
日本テレビの対応に“瑕疵”があったとして、日弁連に人権救済を申し立てたことが明らかになり、「一方的に“加害者”にされたのではないか」という視点からも注目が集まり始めた。
国分太一が涙ながらに訴えた「聞き取り」の実態
そして11月26日。国分は代理人の菰田優弁護士とともに、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見に臨んだ。
会見で国分が明かしたのは、日本テレビ側から「別件の打ち合わせ」として呼び出され、そこでいきなり弁護士同席の“コンプラ聴取”が始まったという経緯だったという。
さらに国分は、
- 自身を守るために、話し合いの場でスマホの録音機能をオンにしていた
- ところが、それを日テレ側の弁護士に発見され、削除するよう求められた
と説明。このやりとりを通じて、国分は「自分の行為と、日テレ側が“重大なコンプラ違反”と認定した内容の“答え合わせ”ができていない」と繰り返し訴えた。
一方、会見後の日本テレビ側は、「二次加害の観点から、答え合わせは難しい」とコメント。ここでもまた、
「国分は悪いが、詳しいことは言えない」という構図だけが温存されてしまった。松岡昌宏が週刊誌インタビューで“加勢”
こうした中で、空気を変えたのが元TOKIOメンバー・松岡昌宏の言葉だ。週刊文春と週刊新潮のインタビューに応じた松岡は、日テレへの感謝を示しつつも、
- 日本テレビ側の聞き取りのやり方
- 説明のないまま「コンプラ違反」を一方的に宣言した手法
については「それ自体がコンプライアンス違反ではないのか」と問題提起した。
テレビ局関係者も、
「もし国分さんの証言通りだとしたら、聞き取りのプロセスにおいて日テレ側が“コンプラを守れていない”可能性も出てくる」と指摘。国分の側だけでなく、放送局側のコンプラ意識も問われる展開になりつつある。
「フジの二の舞は避けたい」日テレの焦りと誤算
関係者の証言として語られているのが、いわゆる“フジの二の舞”を意識しすぎたのではないかという見立てだ。
フジテレビでは、別の人気タレントをめぐる性加害問題への対応が「後手後手だった」と厳しく批判された経緯がある。その反省から、
- 「問題が発覚したら、早期に厳しい対応を取る」
- 「スポンサー離れが起きる前にリスクを遮断する」
といった、より“スピード感のあるコンプラ対応”が、業界全体の空気として強くなっていたのは事実だ。
しかし今回、日本テレビは、
- 内容を伏せたまま「重大なコンプラ違反」のレッテルだけを世に出した
- 結果として国分だけが「何をしたか分からないが重い罪を犯した人」というイメージを背負わされた
という形に。視聴者やファンから見れば、
「フジのように遅れた対応」ではなく、「日テレのように性急すぎる対応」という、新たな“失敗例”を見ているようにも映ってしまっている。
局内でも現在、広告代理店を通じてスポンサーへの説明やケアに奔走しているとされ、「日テレの判断は本当にベストだったのか」という議論が、静かに、しかし確実に広がり始めているようだ。
騒動の“着地点”はどこに? 日テレは「答え合わせ」を避け続けられるか
ここまでこじれてしまった以上、日本テレビ側も「被害者保護」を盾にして、いつまでも沈黙を続けることは難しくなりつつある。
関係者からは、
- 被害者のプライバシーに最大限配慮しつつも、国分本人が納得できる範囲での“事実確認”の場を設けるべきだ
- このまま国分だけが「濃いコンプラ違反イメージ」を背負わされ続けるのは、公平とは言えない
といった声も上がっている。松岡の“加勢”は、まさにその流れを後押しする形となった。
「被害者への配慮」と「加害者とされた側の人権」は、本来どちらも守られるべきものであり、一方を理由にもう一方をないがしろにすることは、本来のコンプライアンスとは言いがたい。
騒動はすでに半年を超え、年越しも確実視されている。日本テレビがどこかのタイミングで「答え合わせ」に応じるのか、それとも最後まで“理由は言えない”を貫くのか──。
いずれにせよ、この問題は一人のタレントのスキャンダルにとどまらず、「テレビ局のコンプラ対応そのものが問われるケース」として、長く語り継がれることになりそうだ。

